家族信託における税金

税金は財産の名義人が移転したとき、所得があったときに発生するものです。
家族信託を行う上で発生する税金とは、いつ?誰に?どんな?の視点でみてみましょう。

相続税

相続税は、ご本人様が亡くなったときに、ご本人様の財産を相続人が取得したときに発生いたします。
では、家族信託ではどういったときに発生するのでしょうか?
例えば、
「ご本人様が自身の財産を長男に預け、最初の利益を受ける人となる。そしてご本人様が亡くなった後は、2番目に奥様が利益を受ける人になり、奥様が亡くなった後は、家族信託が終了し、長男の名義になる」
という家族信託を結んでいる場合における相続税の発生ポイントは、

① ご本人様が亡くなり、奥様に利益を受ける権利が移動したとき(奥様に課税)
② 奥様が亡くなり、長男の名義に変更したとき(長男に課税)

以上、2回のタイミングで相続税が発生します(相続関連の税控除適用あり)。
※相続税の非課税枠内であれば、相続税は発生しません。
少し難しい話になりますが、奥様には名義が移転するのではなく、「利益を受ける権利」が移転いたします。その利益を受ける権利は相続財産の価値と同じとみなし、相続税が発生することとなります。

贈与税

贈与税は、ご本人様が存命中に無償または安価でその財産を他人に譲ったときに発生するものです。
では、家族信託ではどういったときに発生するのでしょうか?
例えば、
「ご本人様が自身の財産を長男に預け、最初の利益を受ける人を障がいを持つ次男とした。そしてご本人様が亡くなっても信託を継続させ、次男のために長男が財産を活用する」
という家族信託を結んでいる場合における贈与税の発生ポイントは、

① 最初に利益を受ける人を次男として家族信託を締結したとき(次男に課税)

以上、1回のタイミング贈与税が発生します。
※相続人が利益を受けることとなりますが、原因がご本人様が亡くなったことではないので、贈与税対象となります。
※財産は扶養義務と判断できる内容ではないものを前提としております。

所得税、住民税

所得税・住民税は、所得が発生したときに発生するものです。
では、家族信託ではどういったときに発生するのでしょうか?
例えば、
「賃貸アパートを経営しているご本人様が、判断能力に不安を覚え始めたので、長男に管理を任せて、賃料収入を受ける権利をご本人様とする」
といった家族信託を結んでいる場合における所得税、住民税の発生ポイントは、

① 賃料収入を受けたとき(ご本人様)

以上、賃料収入が発生し続ければ、継続して税申告が必要となります。
長男が建物管理の一環として、固定資産税他、諸経費の支払いますので、建物に関する税金の心配は不要です。

登録免許税

登録免許税は、不動産における登記簿の変更をするときに発生します。
では、家族信託ではどういったときに発生するのでしょうか?
例えば、
「ご自身の認知症の可能性を考えて、施設入居するときにはご自宅の売却費を充てたい。だが、その時には判断能力が低下しているかもしれないので、長男にご自宅の処分を任せる」
といった家族信託を結んでいる場合における登録免許税の発生ポイントは、

① 不動産を信託財産として信託契約を締結したとき(ご本人様、長男どちらか)

以上、1回です。
登録免許税は評価額の土地_0.3%、建物_0.4%です。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得したときに発生します。
では、家族信託ではどういったときに発生するのでしょうか?
例えば、
「認知症の奥様の介護をしているご本人様。ご本人様の体調が悪くなってきており、自分亡き後の奥様の財産管理を心配し、信頼できるAさんに預貯金とご自宅を託した。奥様が亡くなった後に信託を終了させ、ご自宅はお世話になったAさんのものになる」
といった家族信託を結んでいる場合における不動産取得税の発生ポイントは、

① 奥様が亡くなり、Aさんにご自宅の名義が変更したとき(Aさん)

以上、1回です。
不動産は相続人に名義が変更されたとき、不動産取得税は発生しませんが、事例のように、相続人ではないAさんのものとなれば発生いたします。

家族信託の税発生を時系列でみてみましょう

信託開始時


■不動産が対象でご本人様(財産を預ける人)と利益を受ける人が同一
・・・登録免許税
■不動産が対象で、ご本人様と利益を受ける人が別
・・・贈与税・登録免許税・不動産取得税
※不動産が対象でなければ、登録免許税、不動産取得税は発生しません。
 よって、信託開始時には課税関係はありません。

利益を受ける人に変更があった

相続などで利益を受ける人が変更があったとき
■不動産が対象で、原因が相続で相続人が取得した
・・・相続税、登録免許税
■不動産が対象で、原因が相続でも相続人以外が取得した
・・・贈与税、登録免許税、不動産取得税
■不動産が対象で、原因が相続以外で取得した
・・・贈与税・登録免許税・不動産取得税

■信託期間中には収益が発生した
・・・所得税・住民税
■不動産を対象した信託
・・・固定資産税
■信託した不動産を売却した
・・・譲渡所得税

家族信託そのものには節税効果はありません

家族信託は財産の管理・活用をすることにより、ご本人様や利益を受ける方を豊かにするためのものであり、家族信託を利用したからと言って節税になるとは限りません。
相続時における税控除は全て適用されますので、税制面でのデメリットもありません。
ですが、適切に家族信託を作成しないと、思わぬ課税が発生もいたします。
当事務所では家族信託に精通した税理士とともにお客様のご要望に沿うカタチをご提案いたします。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
092-600-1533
受付時間
9:00~18:00
定休日
日・祝

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

092-600-1533

<受付時間>
9:00~18:00
※日・祝は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2023/7/1
「つながりを知る家系図」を更新しました。
2023/6/21
「空き家問題とは」を更新しました。
2023/5/25
家族信託Q&A[家族信託のデメリット」を更新しました。

ラシック行政書士事務所

住所

〒811-3214
福岡県福津市
花見が丘3丁目3番7号

アクセス

福間駅 徒歩15分

受付時間

9:00~18:00

定休日

日・祝